【ミネルバボックスの特徴】革財布を選ぶための基本知識

ミネルバボックスの特徴

ミネルバボックスの特徴

ミネルバボックスとは?

イタリアで1000年の歴史を持つと言われるバケッタ製法で鞣(なめ)された革に、空打ちというシボ(本革独特のシワや凹凸)を出す加工を加えた高級イタリアンレザー。

ファンの間では「M・ボックス」と呼ばれることが多いです。

ミネルバボックスに使われる皮

ミネルバボックスには主にカウ(生後2年以上のメスの成牛)を使用しています。仔牛の皮よりも分厚く丈夫なのが特徴です。

人が牛を食糧にする限り副産物として手に入る皮なので、安定した供給があります。それにともない価格もある程度安定しているので、安心して選ぶことができます。

希少性の高い皮であるコードバンやカーフ、そして皮を採るために捕獲されるクロコダイルなどに比べると、食糧の副産物として手に入る成牛の皮は環境にも優しい気がするので、私は好んで使っています。

同じ種類の皮を使っている代表的なものがブライドルレザーです。同じ成牛の皮でも、ミネルバボックスはオイルをたっぷりと染み込ませて少し柔軟に、ブライドルレザーはロウを染み込ませてさらに堅牢にしているので、この二つの特徴は全く違ったものになっています。

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バケッタ製法とは? 1

皮を革にする製法は世界にたくさん存在していますが、その中でもバケッタ製法はイタリアのトスカーナ地方で1000年の歴史を持つ伝統的な製造法です。

トスカーナ地方と言えば芸術やワインが有名ですよね。私はワインが好きなのでトスカーナと聞くとキャンティ・クラシコを思い出しますが、他にもオリーブやハムなどが有名です。イタリアはよく長靴やブーツの形に似ていると言われていますが、イタリアを「ブーツをはいている足」に例えると、トスカーナ地方は丁度ひざ上あたりに位置しています。画像で見ると広いですね。

イタリアンレザーが有名なトスカーナ地方の地図

そんなトスカーナ地方で古くから行われてきたバケッタ製法は、工程が多く、さらに皮を1枚1枚丁寧に手作業で加工するとても大変な手間とコストのかかる製造法なので、あるとき継承者がいなくなり、長い間バケッタ製法を扱う者はいませんでした。現代になり、文献の中だけに残っていたバケッタ製法を独自の技術と革に関する豊富な知識で復活させたのが、バダラッシ・カルロ社です。

今ではバダラッシ・カルロ社は、マットーネやミネルバボックスなど、数々の高級イタリアンレザーを生産する世界的に有名なタンナー(皮革製造業者、イタリアではコンチェリアと言われています)になりました。

バケッタ製法とは? 2

バケッタ製法は、まず100%天然の植物タンニンで鞣(なめ)されます。もともと皮はとても柔らかく非常に丈夫ではあるのですが、何もしないとすぐに腐敗したり、乾燥して硬くなり割れてしまうことがあります。これを防ぐために木から採れるエキス(タンニン)や薬品を使って革として長持ちするように加工することを「鞣し(なめし)」と言います。

植物タンニンで鞣し、皮を革にしたあと、革にオイルを含ませる工程に入りますが、この時に使用するオイルは牛脚の油を使います。

一般的にオイルレザーと言われる革は、基本的に植物の油や魚の油が使用されています。そのほうが早く革に浸透し、コストも抑えられるからですね。逆に牛脚の油はこってりとしているので革に浸透しにくく、加工に時間もコストもかかってしまいます。

なぜバケッタ製法は、わざと時間をかけて浸透しにくいオイルを使うのか。

浸透しにくいということは、抜けにくいということなんです。植物や魚のさらさらのオイルよりも、牛脚のこってりしたオイルのほうが革から抜けにくいので、もちろん乾燥にも強く、長く革を守ってくれるのでメンテナンスもそれほど必要ありません。

このように、非常に多くの時間とコストがかかるバケッタ製法で作られた革は仕上がりがとても柔らかく、使い込む程に独特の色艶になり、表情に深みが出てくるのが特徴です。

ちなみに、バケッタ製法で使われる牛脚油の特徴として、植物油や魚油にはない独特の匂いがあります。革製品をたくさん使っていると、牛脚の油は匂いでわかるようになります。

空打ち(からうち)とは?

ミネルバボックス最大の特徴が、表面にある不規則で自然なシボです。シボとは、革の表面にある細かく膨らんだポツポツのことです。大きい膨らみから細かく縮んだ膨らみ、機械的に作られる規則的なシボや、革を揉んでできる不規則で自然なシボまで様々あり、シボは革の表情と言われる大事な要素になっています。

シボの出し方はいろいろありますが、代表的なものが「空打ち」と「シュリンク」の2種類です。簡単に解説すると、空打ちは大きな回転ドラムに入れて革を揉みシボを出す技法。シュリンクは特殊な薬品で革をぎゅっと収縮させてシボを出す技法です。

ミネルバボックスは空打ちにより、革本来の自然で不規則なシボを出しています。空打ち技法は、皮の部位や硬さによってもシボの出方が異なるので、ミネルバボックス特有の美しいシボがファンから高い評価を得ています。

代表的なイタリアンレザーと比較

コードバン、ブライドルレザーと並び世界三大レザーと言われているイタリアンレザーですが、その中でも代表的なイタリアンレザーを簡単に紹介し、ミネルバボックスと比較してみたいと思います。

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マットーネとミネルバボックス

ミネルバボックスの特徴2

イタリアを代表するタンナー、バダラッシ・カルロ社のマットーネは主にカーフ(生後6ヶ月以内の仔牛の皮)を使い、ミネルバボックスと同じくバケッタ製法で鞣され、光沢を出すためにカゼイン加工を施した革です。

ミネルバボックスはマットな質感から、使い込むほどに美しい光沢が出てきますが、マットーネはカゼイン加工により購入時から美しい光沢を感じることができます。

マットーネはカーフを使用しているので、非常に柔らかく繊細な肌触りですが、ミネルバボックスは主にカウ(生後2年以上のメスの成牛)を使用しており、マットーネ程の繊細さはありませんが独特のシボによりしっかりと手に馴染む触り心地です。

ミネルバボックスの特徴3

ミネルバリスシオとミネルバボックス

ミネルバボックスの特徴4

同じくバダラッシ・カルロ社から、ミネルバリスシオと呼ばれるイタリアンレザーがあります。

リスシオはイタリア語で「なめらか」という意味を持ちます。ミネルバボックスとは兄弟のような関係で、こちらもバケッタ製法から生み出される高級皮革です。

一番の違いは、ミネルバリスシオはシボ加工をしておらず、その名の通りとてもなめらかな肌触りになっており、イタリアンレザー特有の美しい発色が特徴です。

皮は成牛の中でも特に硬いショルダーの部位を使用しており、ミネルバボックスよりも少しだけ分厚く堅牢になっているのが特徴です。

ミネルバボックスの特徴5

ナポレオンカーフとミネルバボックス

ミネルバボックスの特徴6

ナポレオンカーフは希少価値の高いカーフ(生後6ヶ月以内の仔牛の皮)を使ったオイルドヌバックです。ヌバックとは、表面をサンドペーパーで削りわざと起毛させた革のことを言います。そのためしっとりと手に吸い付くような質感と、触っていて気持ちの良い手触りが特徴です。

ミネルバボックスと同じようにオイルをたっぷりと含ませる加工をするのですが、ヌバックにすることにより驚くほどしっとりとした質感に仕上がります。

ミネルバボックスのタンナーは超一流のバダラッシ・カルロ社ですが、ナポレオンカーフのタンナーは非公開とされており、そのためにミネルバボックスと比べると比較的低い価格で販売されているようです。革はどちらも最高級皮革であることに変わりはありませんが、タンナーの違いでここまで価格に差が出ているのはバダラッシ・カルロ社の強さでしょうか。

そしてもう一つナポレオンカーフ最大の特徴として、経年変化(エイジング)が非常に早いことがあげられます。イタリアンレザーはエイジングしやすい革が多いのですが、最強のエイジング革と言われているナポレオンカーフはミネルバボックスだけでなく、他の本革と比べても圧倒的なスピードでエイジングしていきます。

約半年で大きく変化すると言われているナポレオンカーフは、もちろん製造中にもエイジングしてしまうくらいです。大きくエイジングしてしまった在庫は販売できないので、大量生産ができずどうしても少量生産になってしまいます。

つまり、非常に希少性の高い高級カーフを使い、価格も安く、少量生産での販売となりますので、結果的に常に品薄状態になり、手にいれるのが困難な商品が多くなっています。ミネルバボックスは比較的供給が安定している成牛の皮を使用しているため、ナポレオンカーフよりも在庫はかなり安定しています。

ミネルバボックスの特徴7

ミネルバボックスのお手入れ・メンテナンスの方法

本革専用保護クリーム

基本的なメンテナンスの方法はこちら「本革小銭入れのメンテナンス方法」をご覧ください。

ミネルバボックスのメンテナンスは軽いブラッシングと空拭きだけで十分です。一番のメンテナンスは日々使うことです。

メンテナンスは基本的には月に1回程度で十分ですが、軽いブラッシング程度でしたら毎日しても問題ありません。

これだけで十分長く、綺麗に使うことができますが、もっとこだわりたい!という方のためにもう少し詳しく解説したいと思います。

保湿クリームについて

ミネルバボックスは先に紹介しましたように、たっぷりの牛脚オイルを時間をかけて革に浸透させています。革に染み込んだオイルが革を守り、乾燥しにくくなっていますので、購入当初は保湿クリームは必要ありません。

特に牛脚オイルは革に浸透させにくく抜けにくいという特性を持っていますので、かなり長い期間に渡って革を保湿してくれます。

さらに、日々使っていれば、手の脂などが表面をコーティングしてくれますので、それだけでメンテナンスは十分です。

革のオイルが抜け、少し乾燥してきたなと思ったときに保湿クリームをするのが良いかと思います。

メンテナンスに使う道具は、革に優しく、傷がつかないものを選びましょう。おすすめは次の項で紹介しています。

メンテナンス用品

  • 毛先が柔らかい山羊毛のブラシ

    ⇒毛先が柔らかい山羊毛のブラシ

  • 本革専用の保湿クリーム

    ⇒本革専用の保湿クリーム

  • 柔らかい布

    ⇒柔らかい布

布に関しては男性用シャツの切れ端など、柔らかく傷がつかないものなら大丈夫です。おすすめはココマイスター公式がおすすめしているコロニルのメンテナンス用品。以下のリンクから公式ホームページで購入できます。

本革専用メンテナンス用品

濡れてしまった場合

ミネルバボックスも他の本革と同じく防水加工がされていないので、水濡れには十分注意しなければいけません。ただ、革に牛脚油をたっぷりと含んでいるので他の本革に比べると少しは耐水性があると言えるでしょう。

もし雨や汗で濡れてしまったときはすぐにきれいな乾いた布で叩くようにして拭き取ります。ゴシゴシこするのは革にダメージを与えてしまうのでよくありません。そして日陰で十分乾くまで乾燥させましょう。

大量の水に濡れてしまったときは、乾いたあとに型崩れしてしまう可能性があるので、そのときは乾いた布でしっかりと水分をとったあと、中に何か物を詰めてきれいな形になるようにしてから乾燥させてあげることが大事です。

革は熱にも弱いので、乾燥させる際はドライヤーやストーブの温風は使わずに、なるべく自然乾燥させてあげましょう。

防水スプレーについて

色の変化が出てしまう可能性がありますので、私は基本的には防水スプレーはおすすめしていません。製造元があえて防水加工していないのには理由があるからです。つまり、革本来の風合いや変化の仕方が変わってしまうことがあるからです。

ミネルバボックスはオイルレザーなので、他の本革に比べると少しは水に強くなっていますが、それでも水に濡れるとシミになってしまうことがありますので、気になる方はスプレーしておきましょう。

スプレーする際は、まずブラシなどで軽くホコリを落としてから。そして2,30センチ離して均一になるようスプレーし、乾くまで触らないことがコツです。

おすすめの防水スプレーは、ココマイスターが公式でおすすめしているコロニルのウォーターストップスプレーです。高級皮革を専門に扱うココマイスターが公式におすすめしている商品ですから、安心して使うことができます。

傷について

傷がついてしまうのはいけないことではなく、それも革の味の一つとして楽しむのが良いかと思います。人にもよりますが、私は初めて本革を持ったときはビクビクしながら使っていましたが、ある程度傷があったほうが革らしい風合いが出てきますので、今では気にせずガンガン使っています。

もし傷が入ってしまった場合、傷を隠そうとクリームを塗ってしまうと、逆にシミになってしまったりすることがありますのでおすすめしません。気になる方は軽く指でこすってあげるか、革の持つ再生力で自然回復するのを待ちましょう。もちろん革に染み込んだオイルが少なくなっていると回復しにくいので、そのときはメンテナンスもかねて全体に均一にクリームを塗ってあげるのが良いかと思います。

メンテナンスのポイントまとめ

  • ・一番のメンテナンスは日々使うこと
  • ・基本はブラッシングと空拭き
  • ・最初はクリームは塗らない
  • ・乾燥してきたらクリームでメンテナンス
  • ・濡れたらすぐに拭く
  • ・防水スプレーはブラッシングのあと
  • ・傷はなるべく放置する
  • ・ひたすら優しく丁寧に、愛を込めて

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以上、ミネルバボックスの特徴とお手入れ・メンテナンスの方法でした!

高級イタリアンレザーを代表するミネルバボックスは老若男女問わず人気のある革なので、プレゼントにもおすすめです。